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改良ガラス濾紙法による植物DNAの抽出
高倉 耕一
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2011 年 11 巻 2 号 p. 139-149

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抄録
分子生物学的な分析手法は,生物学における様々な分野において利用される汎用的な研究手段になっている.このことから,より簡便で安全なDNA抽出・精製手法への需要はますます高まっている.本報告で筆者はガラス濾紙を用いたDNA抽出・精製法の改良を提案した.主な改良点は次の3点である.第1に,植物組織の磨砕液を遠心分離して用いること.第2に,ポリフェノール類の吸着剤であるポリビニルポリピロリドン(PVPP)をDNA抽出液に添加すること.第3に,卓上ミニ遠心機を用いて,濾紙片から効率的にエタノールを取り除き,DNA溶液を回収すること,である.この改良法を用いて,PCRのテンプレートとして利用できる純度のDNA溶液が多様な植物種から得られることを示した.この新しい手法は,低いコスト,高い安全性という点で,多くの従来法よりも優れており,適用範囲の広さという点で,従来のガラス濾紙法よりも優れている.
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© 2011 日本植物分類学会
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