抄録
94)アリサンシロカネサウ Isopyrum arisanense OHWI. DRUMMOND and HUTCHINSON兩氏によれば支那産のI. sutchuenense FRANCH.である由であるが支那産のものは花が一層大きく,花瓣の先端は二裂し花柱は長く,雄蕋の數が多く且不定な植物であつて,臺灣のものは別種とした方が穩當と思はれる。早田博士は雄蕋の五個のものと十個のものとを見て居られるが,私の見た標本は五個のもので花絲は先端に向つて漸次に膨れて居る。95)リウキウサギサウ Habenaria cirrhifera OHWI. 臺灣産のH. longitentaculata HAYATAに似て花が稍大きく蕚片の先端が尾状に伸長するものが琉球諸島,奄美大島に産する,新種と思はれるので上記の名稱を與へる。96)イイヌマムカゴ Perularia Iinumae (MAKINO) OHWI. イイヌマムカゴはトンボサウと共にPerularia屬に改めねばならぬ,Soo氏に依ればイイヌマムカゴはオオヤマサギサウの變種となるべきものの由であるが,此れとは縁もゆかりもないものであるから恐らく見た材料が別のものであらうと思ふ。従つてSoo氏と同樣の材料を使つたSchlechter氏の論文は歐文中に引用せぬ事とした。本邦には次の四種のPerulariaがある。