植物分類,地理
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日本藍藻類第二
米田 勇一
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1938 年 7 巻 2 号 p. 88-101

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抄録
Aphanocapsa. 44. A. elachista var. cenferta W. et G. S. WEST. 細胞は極めて小形,約2μ,群體内に於ける排列は種に於けるよりも稍密である.湖沼のプランクトンとして出現する.京都深泥池,日本新産. Gloeocapsa. 45. G. atrata (TURP.) KUTZ. 細胞は徑4μ許,粘鞘は厚く不明瞭なる層を作る.山間の濕岩上に産する.京都嵐山,日本新産. Chroococcus. 46. C. limneticus LEMM. 細胞は6-12μ,群體内に4-32個を容れる.湖沼のプランクトンとして世界的に分布する.京都深泥池. Coelosphaerium. 47. C. dubium GRUNOW. 球形の群體を作り細胞はその周邊部に位置する.細胞は直徑5-7μ,明瞭なる空胞のあるを特徴とする.プランクトン.京都深泥池,日本新産. Merismopedia. 48. M. tenuissima LEMM. 細胞は略球形に近く極めて微小,1-2μ許,群體は通常16個の細胞を有する.泥炭地或はプランクトンとして産す.京都深泥池. Synechococcus. 49. S. elongatus var. vestitus COPELAUD. 細胞は圓筒形,幅2-2.4μ,長さ4-9μありて,基種よりも大形,著しい團塊をなす.アメリカ黄石公園の温泉にて發見されたるもの,筆者は之を上高地坂巻温泉附近の路傍に湧出せる無名の一小温泉(53℃)に得た.日本新産. Chamaesiphon. 50. C. curvatus NORDST. 細胞は幅4-6μ,長さ20-150μ或は更に大きく,常に多少彎曲してゐる.京都南禪寺附近の山間の水流中に生ぜる Cladophora の絲體に附著してゐるのを認めた.日本新産. Fischerella. 51. F. maior GOM. 通常濕地岩石樹皮等に産するが,筆者は之を深泥池沿岸の濕地に得た.日本新産. Calothrix. 52. C. Braunii BORN. et FLAH. 粘鞘は薄く無色殆ど層をなさず,異質細胞は基底に一個又は二個.止水或は流水中の岩石水草に附著する.廣く各地に分布する. Gloeotrichia. 53. G. echinulata (SMITH) RICHTER. 群體は球形青緑色,數十の絲體が放射状をなし,各絲體の下方は無色の粘鞘に圍繞されてゐる.湖沼のプランクトンとして世界的に分布する.京都深泥池,琵琶湖. Cylindrospermum. 54. C. stagnale (KUTZ.) BORN. et FLAH. 異質細胞は絲體の一端又は兩端にありて球形又は長味を帶びる.休眠細胞は兩端圓き圓筒形にして,平滑黄褐色の膜を有す.止水又は緩流中の基物に附著し或は濕潤なる地上岩石等に生ずる.
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© 1938 日本植物分類学会
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