抄録
本論文では, 肝臓領域のCT値の分布特徴や位置情報を利用した肝臓領域抽出法について述べる. 本手法ではまずしきい値処理や距離変換等を用いて大まかな肝臓候補領域を求める. そして, 候補領域CT値の特徴を利用して,症例毎のCT値の変動に対応したパラメータを領域拡張の拡張条件に用いることより,他臓器の過抽出を抑制して肝臓領域を抽出する. また,モルフォロジ演算により得られる領域のCT値の分布特徴等を肝臓領域抽出と同様に利用して, 正常な肝臓領域とは異なったCT値を持つ病変領域を抽出する. 提案手法を非造影腹部X線CT像14例に適用した結果, しきい値処理や距離変換を用いて肝臓領域を抽出した従来の手法に比べて,抽出精度が改善されていることを確認した.