抄録
増加し続ける人口を養うには、食料増産と同時に農薬や肥料の使用を減らす農法の確立が必要である。木酢液は、作物の収量と品質を向上させるバイオスティミュラントとして使用されるが、植物に及ぼす影響は十分理解されていない。本研究では、0.001または0.01%木酢液を含む溶液でイネ苗の生育改善効果を調べたところ、木酢液が葉身と根の生長を促進し、種子根および冠根を含む根の数を増加させることが示された。次に、木酢液添加は、葉身と根において植物の生長を促進するジベレリンとサイトカイニンの量を著しく増加することが判明した。また、窒素と木酢液を混合して処理したイネの生育を調べたところ、木酢液に少量の窒素を添加すると、イネへの窒素取込量が増加し、生育が有意に改善された。これらの結果は、木酢液の使用が植物ホルモンの増加によってイネの生育を促進するだけでなく、窒素肥料の量を低減できることを示唆する。今後は、木酢液が稲の収穫時期においても良い影響を与えるかどうかを明らかにすることが必要である。