日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌
Online ISSN : 2189-9568
Print ISSN : 1344-9109
La reescritura de la carta sobre los fantasmas de Plinio el Joven en la narrativa aurisecular
Ana Piñán Álvarez
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 30 巻 p. 37-49

詳細
抄録

ギリシア・ローマ時代の人々は、正しく葬儀が執り行われなかった死者への恐怖心を抱いていた。なぜなら死者の魂は、成仏することができないため黄泉の国に行くことが出来ず、幽霊となって現世に留まると信じられていたからである。この恐怖心は、のちに近代幽霊小説の礎となる、ある幽霊話を作り出した。小プリニウスによって書かれたこの物語は、彼の有名な書簡集の手紙の一節であり、スペイン黄金世紀には幾つもの翻案がなされるほど影響力のある作品であった。本論文では、小プリニウスの物語を翻案した、アントニオ・デ・トルケマダとマリア・デ・サヤス、それぞれの作品についての分析を行う。彼らはそれぞれの作品をスペイン黄金世紀に順応させるために、時代の内容を変え、人知を超えた存在を正当化するために欠かせない宗教的な要素を加えた。自身の作品に、主題と小プリニウスの書いた物語を組み合わせ、翻案を行ったのである。

著者関連情報
© 2019 日本・スペイン・ラテンアメリカ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top