全国の普通科高等学校394校の進路指導主事を対象に行われた進路指導の実態に関する調査のうち,進路指導の理念・方針と,中心的指導場面であるLHRにおける実践活動等に関する計45項目を用いて,結果を概略的に表現することを目的として分析をおこなった。項目間の相関関係を縮約的に記述するために,1次因子分析として斜交プロマックス解を用い,因子間相関を用いて2次因子分析をするという手法を採用して結果を解釈した。その結果,1次因子分析で得られた6因子は,短期的な進学準備に関する指導の側面と,長期的な進路設計に力点を置いた指導の側面という2つの2次因子により解釈可能であるということが示された。1次因子の因子間相関の検討から,LHRの時間数の多さは特定の指導方針との関係が必ずしも強くなく,この点は進路指導の充実上見逃せない課題であると考えられる。地域別,進学率別に1次因子の因子得点について比較した結果,地域の要因に関しては,一部の因子を除き北日本の高等学校が,東・西日本の高等学校よりも積極的な指導を推進している旨回答する傾向が認められたが,その理由は明確ではない。一方,進学率による回答傾向の差に関しては,各群の教育事情に帰せられると解釈可能な側面が認められた。