2001 年 31 巻 p. 145-152
本論文は、アクション・リサーチの合理性を明らかにし、その規範と類型を提示することを目的とする。論証としては、社会科学における合理性の追求を行なったSimon(l996,1997)や、実践状況の解明を目指したSchon(l983)、心に対するアプローチの総括を行なったSearle(l998)、批判的教育研究の重要性を説いたCarr and Kemmis(l986)などの論に基づきながら、アクション・リサーチの合理性を、アクション・リサーチの四側面(plan, act, observe, and reflect)を捉えるキーワードである「デザイン」「実践」「心」「教育」の点からそれぞれ検討する。それぞれの合理性を基準の形で明確に示すことによって実験室内実験研究とは異なったアクション・リサーチの規範と類型を呈示する。