2003 年 33 巻 p. 51-60
この論文では、理論的検討の後、第二言語コミュニケーション成立を「対話者相互が、安定的に第一の意味に基づく解釈の近似的共有が可能になる程度に、お互いが所定の第二言語を似た話し方で、真理概念に基づいて対話を行うこと」と定義する。この理論的定義は、「第一の意味」概念の明示的な導入において第一言語コミュニケーション定義と異なり、「解釈の近似的共有」を基準とすることにおいて、発話を中心にして考える通俗的コミュニケーション定義と異なり、「真理概念」の重要性を説くことにおいて、従来の言語学的・応用言語学的発想あるいはコードモデル的コミュニケーション観とも異なる。最後にこの定義から導かれる示唆が提示される。