Chem-Bio Informatics Journal
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タンパク質立体構造情報に基づく機能予測法:Ca2+結合タンパク質
浅岡 丈生安藤 格士目黒 俊幸山登 一郎
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2003 年 3 巻 3 号 p. 96-113

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抄録

タンパク質の機能を理解するには、配列、構造や物性の情報が重要である。現在のタンパク質機能予測は、アミノ酸配列情報が蓄積され膨大化していった影響を受け、アミノ酸配列を利用したホモロジー検索やモチーフ検索が主な手法である。しかし、タンパク質の機能はアミノ酸配列が折りたたまることによってできる複雑な立体構造により決定される。このことをうけ、タンパク質立体構造を系統的に決定しようと構造ゲノム科学が新しい研究分野として生まれた。構造ゲノム科学の進展により、今後はタンパク質立体構造情報が急激に増加していくことが期待される。タンパク質立体構造情報の充実に伴い立体構造を利用した高速・高効率な機能予測法の確立が必要となってくる。そこで、タンパク質の立体構造情報を利用した機能予測アルゴリズムの作成を行った。研究対象として、立体構造情報及びその機能情報が充実しているEFハンドCa2+結合タンパク質について解析を行った。まず、局所構造におけるアミノ酸の出現頻度及び局所構造内部に見られるCα間の距離を構造情報として抽出した。次に、機能部位で見られる構造情報とその他の局所構造で見られる構造情報の差を利用してスコア関数を作成した。その結果、EFハンドCa2+結合部位とその他の局所構造に分類することが可能となった。距離情報を用いることで、膨大化した立体構造情報の高速且つ網羅的な解析が可能になると期待できる。今後、他の機能部位についても本手法を適用し有効性を検討していく予定である。 

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2003 Chem-Bio Informatics Society
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