タンパク質-低分子化合物相互作用データは、医薬品開発と深い関連がある。この種のデータはかなり大規模に取得されつつあるが、既存のツールは効果的にこれらのデータを可視化できない。そこで、タンパク質-低分子化合物相互作用データを効果的に可視化する方法論を開発することが本研究の目的である。開発した可視化の方法論には二つのコンセプトがある。第一は、三種類のデータの同時表示である。三種類とは、タンパク質データ、低分子化合物データ、タンパク質-低分子化合物相互作用データである。第二は、全体表示と局所表示の切り替えである。これら二つのコンセプトをデータマトリクスビューアとして実装しBirdsAntsと名づけた。開発したビューアを評価するためタンパク質-低分子化合物相互作用データベースのデータを用いてデータマトリクスを作った。このマトリクスをBirdsAntsで解析した結果、二つの既知の知識を再発見することが出来た。一つ目は、ビタミンB12の複数の機能がそれぞれ別のタンパク質との相互作用によるという知識である。二つ目は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤が二段階のクラスタリングを行うことで、いくつかに分類できるという知識である。評価結果は、BirdsAntsがタンパク質-低分子化合物相互作用データを効果的に可視化できるポテンシャルがあることを示している。