抄録
本研究は、全国の町村自治体を対象に、地方財政に果たすふるさと納税の役割と活用実態の解明を目的とする。分析の結果、ふるさと納税は9割以上の町村自治体に一般財源の補填と財政の再建効果をもたらしており、税収が減少する自治体へのマイナス効果は小さかった。ふるさと納税の使途は寄附者が選択できるものの、実質的には自治体が一般財源と同様に扱うことができるため、財政健全化にも貢献している。また、具体的な活用は、商工業の振興、各種補助金支援などのソフト関連事業が主であり、寄附額が多くなるほどハード関連事業への充当件数も増える。従来の地方交付税制度と異なり、ふるさと納税制度は主にソフト関連事業への歳出増加に寄与しているといえる。他方、ふるさと納税制度における町村自治体間の税収格差は顕著であり、ほとんどの自治体では既存事業への少額補填が中心である。認知度の高い一部自治体に寄附が流れ、自治体間の差が開いている。