化学生物総合管理
Online ISSN : 1349-9041
ISSN-L : 1349-9041
特集
メチレンジオキシ・ピロバレロンの中枢神経作用
マイクロダイアリシス法を用いて
不破 達児玉 亨本多 芳子田中 豊人久保 喜一大橋 則雄中江 大小縣 昭夫
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 5 巻 1 号 p. 62-72

詳細
抄録

脳内局所微量透析法(マイクロダイアリシス法)と高速液体クロマトグラフィーとの組み合わせによって、メチレンジオキシ・ピロバレロン(MDPV)投与によるマウス線条体内神経細胞外のドーパミン (DA) とセロトニン (5-HT) 量の経時的変化を調べた。それに加えて、行動量の測定実験と連続投与による中枢神経損傷の有無について、免疫組織化学による実験をおこなった。マイクロダイアリシスによる生体試料回収は10分間隔で行い、MDPV経口投与から2時間半後までおこなった。線条体内神経細胞外のDA量がMDPV投与から30分の間に210%、30分から60分の間に208%増加した。5-HT量の変化は観察されなかった。MDPVのDA作動性神経作用は類似薬物MDMA、METHと比較して緩やかで、短時間であった。なお、DA量と行動量の変化からマウス線条体内の神経細胞外DA量が200%以上増加すると行動量増加を引き起こすと考えられた。MDPVの神経毒性は今回の実験からは観察されなかった。

著者関連情報
© 2009 特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top