CHEMOTHERAPY
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Tobramycinに関する実験的ならびに臨床的研究
西沢 夏生河盛 勇造
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1975 年 23 巻 3 号 p. 1047-1052

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抄録

Tobramycinについて, 二, 三の実験を行ない, 呼吸器感染症に投与して, つぎの成績を得た。
1) TOBの試験管内抗菌力をGMと比較した結果, 黄色ブドウ球菌, 大腸菌, 変形菌に対し, ほぼ同程度であり, 緑膿菌に対しては, 約3/4の菌株に対し3.13μg/ml以下のMICを示し, この点においてもGMとほぼ等しかった。
2) TOB80mg筋注後の血清中濃度は, 1時間後に8.6~9.0μg/ml, 2時問後に6.8~8.6μg/ml, 4時間後に2.4μg/mlであった。
3) 呼吸器感染症8例にTOB80mgを1日1回または2回, 10日間以上の投与を行なった結果, 緑膿菌感染を伴った慢牲気管支炎に細菌学的効果を, 他の緑膿菌感染5例に臨床的改善を認めた。1例に発疹を認めた以外には, いちじるしい副作用はなかった。
4) TOBと自家ワクチンを併用した経験について記載し, とくに血清抗菌力に関して述べた。
本研究に使用したTobramycinは, 塩野義製薬より提供を受けた。記して謝意を表する。
本論文の概要は, 第22回日本化学療法学会総会 (昭和49年6月, 東京) で発表した。

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© 社団法人日本化学療法学会
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