CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
呼吸器感染症に対するCefoperazone (T-1551) の臨床効果の検討
渡辺 一功森 健泉 昭日比野 順子池本 秀雄
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 414-418

詳細
抄録

新たに本邦で開発されたセファロスポリン系抗生剤であるcefoperazone (CPZ, T-1551) を呼吸器感染症症例, 延8例に投与し, その臨床効果および副作用について検討した。
対象となった呼吸器疾患の内訳は肺炎5例, 気管支拡張症1例, びまん性汎細気管支炎1例の計7症例であるが, 気管支拡張症の症例では再燃時に本剤を2回にわたり時期を異にして投与した。投与方法は原則として本剤1~2gを5%糖液または電解質液200mlに溶解し, 約2時間の点滴静注で1日2回投与した。
本剤の投与期間は最短11日より最長32日間, 総投与量は最少22g, 最大128gにいたる。
臨床効果は著効4例, 有効3例 (有効率87.5%) で, びまん性汎細気管支炎の1例がやや有効という結果である。疾患別にみると, 5例の肺炎では著効2例, 有効3例である。とくに気管支拡張症の症例は喀痰よりHaemophilus influenzaeが常時分離されていたが, 本剤の投与により速やかに自・他覚症状の改善, 菌の消失をみた著効例である。
本剤の使用前の皮内反応は全症例陰性であったが, 帝王切開後に無気肺, 肺炎を合併した35歳の女性症例で本剤投与後11日にS-GOT 33→100u, S-GPT 23→58uとトランスアミナーゼの上昇を認めたが, この他には特記すべき副作用は認めなかった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top