CHEMOTHERAPY
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消毒剤Povidone-Iodine (イソジン) の結核菌に対する殺菌力について
佐々木 昌子大泉 耕太郎渡辺 彰青沼 清一大沼 菊夫今野 淳
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1981 年 29 巻 8 号 p. 880-886

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抄録

BCG, H37RVに対する種々消毒剤の殺菌作用を比較したところ, 5%Phenol, Ethanolの有効希釈倍数は約5倍, 42~52%クレゾール石ケン液と100mg/ml PVP-1の有効希駅倍数は500~1,000倍であった。しかし, 5%chlorhexidine, 10%chlorbenzarconium, 10%alkylpolyaminoglycineでは原液15分では殺菌作用を示さなかった。
臨床分離結核菌7株に対しては, クレゾール石ケン液の有効希釈倍数は, 7株中6株が100~500倍に対し, PVP-I液では7株中6株が有効希釈倍数5,000倍であった。
低温 (10℃) ではPVP-Iの殺菌作用は著明に低下した。
血清添加によりPVP-Iの殺菌力の低下がみられた。
PVP-Iは5秒間の接触でBCGを殺菌した。
以上よりPVP-Iは結被菌に対し, クレゾール石ケン液とほぽ等しいか, より強力な抗菌力を有し, しかも非常に短時間の接触で殺菌作用を示すことより, 手洗い剤としての有効性が示された。
しかし, 低温での使用および蛋白成分の混入の際には充分な注意が必要である。

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