抄録
過去15年間に当科に入院し種々の癌化学療法をうけた末期固形癌683例について術後癌化学療法施行胃筋100例を対照として, 合併感染症の発生率, 改善率等について検討した。その紬果, 癌化学療法施行末期癌例における感染症の発生率は, 対照の5.0%に対して, 臨床例で45.2%, 剖検例では48.1%に認められた。これら合併感染の種類は, 臨床例および剖検例ともに, 呼級器系感染が最も多く, 泌尿器系感染, 消化器系感染の順であった。また, 合併感染症に対する抗菌性抗生物質はほぼ半数に無効であるが, 癌化学療法効果が有効から無効になるにつ払抗生物質効果も有効から無効になる傾向が認められた。なお, 感染症非合併群においては, 癌化学療法効果の有効例がやや高率に認められた。制癌剤の種類と感染症発生率には著明な相関はなかった。しかし, 癌化学療法に併用投与されたPrednisolone投与例では, 非投与例との間に感染症合併率に差異は舘められなかったが, 感染症非合併例の82.8%は, 投与総量1,800mg, 2ヵ月までの挽与例であり, 感染症合併例の64.0%は3ヵ月以上の投与例であった。そのほか, 末期癌例の死亡直前1~2週間の末期感染症における発熱型と末梢白血球数等についても検討した。