CHEMOTHERAPY
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4', 4''-アデニリル転移酵素を産生する黄色ブドウ球菌の分離状況について
野々口 律子後藤 朗山下 直子生方 公子紺野 昌俊川上 小夜子
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1984 年 32 巻 2 号 p. 89-98

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抄録

1983年1月から1983年4月までの期間中に, 当大学の中央検査部細菌検査室で扱った検査材料から分離された黄色ブドウ球菌 (S.aureus) のアミノ配糖体系抗生物質 (AGs) に対する感受性成績を検討し, 以下の結果を得た。
1. 期間中の総検体6, 251例から検出されたS.aureusは。834株 (13.3%) であった。入院患者では喀痰からの菌の分離頻度が高く, 次いで耳漏, 膿汁の順であったが, 外来患者では耳漏からの本菌の分離頻度が高かった。
2. ディスクによる感受性検査で, KM, GM, AMKのいずれかに耐性を示す菌は, 入院患者からは41.2%, 外来患者からは23.0%の割合で検出されていた。AGs耐性菌の検出頻度は, 特に入院患者のWHカテーテルの先端, 膿汁, 分泌物等で高かった。
3. AGs耐性菌は, KMにのみ耐性を示す群, KM, GMおよびAMKに耐性を示す群, GMには感性を示すがKMとAMKには耐性を示す群の3群に大別された。特に今回は, 今までに検出されていない上述の最後の群に属する菌が入院患者の検査材料から検出され始めている点が注目された。
4. 最後の群に属する菌は, AGsを修飾する4', 4''-アデニリル転移酵素を産生する菌であることが明らかにされた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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