CHEMOTHERAPY
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術後感染症に対するCefoperazoneとCefotiamの二重盲検法による薬効比較試験
酒井 克治他
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1984 年 32 巻 6 号 p. 371-396

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抄録

術後感染症に対するCefoperazone (以下, CPZと略す) の臨床的有用性を客観的に評価する目的で, Cefotiam (以下, CTMと略す) を対照薬として二重盲検比較試験を行ない以下の結果を得た。
1. 術後創感染 (以下, A層と称す) での総合臨床効果の有効率はCPZ投与群95.1%(58/61), CTM投与群80.8%(42/52) であり, FISCHERの直接確率計算法で有意差が認められたが, U検定では有意な差はなかった。また術後腹腔内感染および術後死腔感染 (以下, B層と称す) での有効率はCPZ投与群84.7%(50/59), CTM投与群53.7%(29/54) で両薬剤群間に有意差が認められた。しかしCTMの非適応菌が検出された症例を除いて評価した場合の総合臨床効果は, A層でCPZ投与群95.1%(39/41), CTM投与群88.6%(31/35) で有意な差はなく, またB層ではCPZ投与群91.9%(34/37), CTM投与群65.6%(21/32) でFISCHERの直接確率計算法で有意差が認められたが, U検定では有意差はなかった。
2. 最終全般改善度の改善率は, A層でCPZ投与群86.9%, CTM投与群80.8%で有意な差はなく, B層ではCPZ投与群81.4%, CTM投与群57.4%で両薬剤群間に有意な差が認められた。
3. 有用性判定の有用率はA層でCPZ投与群80.6%, CTM投与群63.5%で有意な差はなかったが, B層ではCPZ投与群71.9%, CTM投与群38.5%で両薬剤群間に有意な差を認めた。
4. 細菌学的効果として病巣分離菌の消失率は, A層でCPZ投与群78.4%, CTM投与群55.6%, B層ではCPZ投与群60.7%, CTM投与群37.5%であり両薬剤群間に有意差は認められなかった。
5. 副作用はCPZ投与群4例 (2.9%). CTIM投与群5例 (3.9%) で, また臨床検査値界常化例はCPZ投与群8例, CTM投与群11例であり, その種類・頻度ともに両薬剤群間に差は認められなかった。
以上の結果よりCPZは術後感染症に対する治療薬として有用性の高い薬剤であると結論される。

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