CHEMOTHERAPY
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DL-8280に関する臨床的研究
鈴木 康稔山作 房之輔
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1984 年 32 巻 Supplement1 号 p. 214-218

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抄録
新しいオキサジン系抗菌製剤であるDL-8280を水原郷病院の患者12名に用い, 臨床効果を検討した。
対象患者は年齢が32~80歳で男性5例, 女性7例であり, その内駅は呼吸器感染症が3例, 急性腸炎2例, 尿路感染症6例, 忽性胆のう炎が1例あり, そのうち基礎疾息を有するものが8例あった。起炎菌別ではCampylobacterが1例, E. coli4例, Klebsiella 2例であり, 残りの5例は起炎菌を分離できなかった。
投与量は1回50~100mgを1日3回ずつ投与し, 投与日数は3~13日におよんだ。
結果は, 呼吸器感染症3例のうち2例は有効であったが, 1例は非常に軽症であり, 本剤を投与しなくとも自然治癒する可能性もあったのでやや有効とした。急性腸炎は2例とも下痢が軽快し有効であった。尿路感染症6例のうち, 1例は本剤投与中も投与後も菌数が不変で無効であった。残りの5例はいずれも尿中細菌が消失し有効であったが, うち1例は症状の消失が早く, 著効とした。急性胆のう炎の1例は軽症であったが, 腹痛の消失も早く, 有効であった。
以上12例を総合すると著効1例, 有効9例, やや有効1例, 無効1例で, 有効以上での有効率は83.3%であった。
副作用については臨床的なものは1例も認められなかった。また検査した範囲内では血液, 肝, 腎ともに異常を認めたものはなかった。
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© 社団法人日本化学療法学会
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