CHEMOTHERAPY
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新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤DL-8280のin vitroおよびin vivoにおける細菌学的評価
五島 瑳智子藤元 輝男辻 明良小川 正俊宮崎 修一金子 康子桑原 章吾
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1984 年 32 巻 Supplement1 号 p. 22-46

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抄録

新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤DL-8280のin vitroおよびin vivoにおける抗菌力を, Norfloxacin (NFLX), Pipemidic acid (PPA) およびNalidixic acid (NA) と比較した. その結果, DL-8280は, 偏性嫌気性菌を含むグラム陽性およびグラム陰性菌に対し, 広い抗菌スペクトラムを有していた. その抗菌力はPPAおよびNAよりすべての菌種で優れており, またNFLXに比較しても, 腸内細菌, Pseudomonas aeruginosにおよびHaemophilus influenzaeに対してほぼ同等に強く, Gentamicin耐性菌にも抗菌活性を示した. ブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌, グラム陽性菌および偏性嫌気性菌に対する抗菌力はいずれもNFLXより強く, 各菌種に対する抗菌力の幅の小さいことが注目された. DL-8280の抗菌作用は殺菌的であり, 菌量, 馬血清添加による抗菌力の低下も少なく, in vitroで薬剤増量継代培養により耐性上昇も低い特徴を有していた. DL-8280の抗菌活性は酸性側で低下するが, pH6~9の間では著しい変化はなかった。
一方, in vioにおけるマウス実験感染症に対するDL-8280の治療効果は, E coliと他菌種との混合感染を含む種々の全身感染あるいは尿路感染のすべての系において同系統対照薬剤より優れていた. これらのin vivo成績は, 実験に使用したマウスにおけるDL-8280の経口吸収性が対照薬剤よりはるかに良好であること, 抗菌活性が強く, 殺菌的であるという特徴を反映する成績であると考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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