抄録
新合成オキサジン系抗菌剤DL-8280を, 九州大学泌尿器科とその関連病院18施設において, 慢性複雑性尿路感染症96例, 急性単純性膀胱炎17例, 急性単純性腎盂腎炎4例, 前立腺炎3例, 前立腺炎と副睾丸炎の合併症例2例, 淋菌性尿道炎9例, 非淋菌性尿道炎2例に使用した。
脱落および除外症例を除いた総合有効率は, 慢性複雑性尿路感染症76%, 急性単純性膀胱炎100%であった。また急性単純性腎盂腎炎は著効3例, 有効1例, 前立腺炎および副睾丸炎は全例著効, 尿道炎では淋菌性において9例中8例著効, 1例有効, 非淋菌性では2例著効であった。細菌学的効果は156株中132株, 85%が消失した。
副作用は口渇および胃部不快感が1例に認められ, GOT, GPTの上昇が4例に, 赤血球数, ヘモグロビン, ヘマトクリット値の減少が2例に認められたが本剤投与終了後, 短期間で改善した。
以上の成績より, 泌尿器科領域感染症に対してDL-8280は有用性の高い薬剤と考えられた。