CHEMOTHERAPY
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AT-2266に関する基礎的, 臨床的研究
岡本 緩子前原 敬悟間瀬 勘司吉岡 宗安永 幸二郎大久保 滉上田 良弘
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1984 年 32 巻 Supplement3 号 p. 523-540

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抄録

今回, 大日本製薬株式会社で開発されたAT-2266の抗菌作用および臨床症例に対する効果を検討して, 次のような結果を得た。すなわち, 感受性についてはS. aureusに対してNalidixic acid (NA), Pipemidic acid (PPA) よりMICが優れ, Norfloxacin (NFLX) とほぼ同等の感受性であった。
一方, グラム陰性桿菌にもNAおよびPPAより数段優れたMICを示し, E. coli, E. aerogenes, Serratiaに対してはNFLXとほぼ同等の感受性であった。
本剤を臨床症例10例 (気道感染症6例, 大腸炎3例, 膀胱炎1例) に使用し, 気管支拡張症を基盤とする慢性気管支炎の急性増悪の1例には無効, 慢性扁桃炎の1例はやや有効, 他はすべて有効であった。
本剤の副作用, あるいはそれによると思われる臨床検査値の異常は, いずれの症例にも認められなかった。
以上の成績, ならびに本剤は内服剤でもあることから, 外来における軽症の感染症に適した抗菌剤と考えられる。

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© 社団法人日本化学療法学会
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