CHEMOTHERAPY
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最近分離した黄色ブドウ球菌の化学療法剤感受性
一新設医科大学病院における動向
那須 勝後藤 純後藤 陽一郎田代 隆良糸賀 敬菅原 弘一伊東 盛夫
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1985 年 33 巻 5 号 p. 427-433

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抄録

一新設医科大学病院 (ベッド数: 600床) での開院後約2年間における黄色ブドウ球菌の化学療法剤感受性の現状を知る目的で, 各種の臨床材料から分離された230株について36種の化学療法剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 考察を加えた。
Methicmin耐性菌 (MIC≧12.5μg/ml) は40%, cloxacillin耐性菌17%, cefazolin耐性菌33%, gentamicin耐性菌30%などに認められ, 既存の大病院における成績と同様な耐性菌の存在が確認された。Cefmetazole耐性菌は26%にみられたが,≧100μg/mlの高度耐性株は5株 (2, 2%) と少なかった。Rifampicin, minocycline, doxycyclineに対して良好な感受性を示したが, minocyclineに8%の耐性株が認められ, 今後注目してゆく必要があると思われた。新しく開発されたピリドンカルボン酸系抗菌剤では, ofloxacin24%, enoxacin0.4%(1株, MIC12.5μg/ml) に耐性株が認められ, 黄色ブドウ球菌感染症に期待される薬剤であると考えられた。
コアグラーゼ型の検討では, 耐性株は圧到的にIV型が多く (69%), 次いでVII型, II型, VI型などに型別され, 感性株はVII型 (24.6%), 次いでIII型, IV型, V型などの多種の型に分けられた。
新しく開設された大学病院においても, すでに既存の病院と同じく耐性菌が蔓延していることが明らかとなった。

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