CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対する6315-S (Flomoxef) の基礎的・臨床的検討
水野 全裕岸 幹雄宮田 和豊公文 裕巳大森 弘之近藤 捷嘉近藤 淳難波 克一赤枝 輝明植田 秀夫天野 正道田中 啓幹森永 修高田 元啓
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1987 年 35 巻 Supplement1 号 p. 1070-1083

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抄録

複雑性尿路感染症に対する6315-S (Flomoxef) の有用性を基礎的ならびに臨床的に検討した。
1) 抗菌力: 尿路感染症由来の教室保存株11菌種, 196株に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同系薬剤であるLatamoxef (LMOX), Cefmenoxime (CMX), Cefoperazone (CPZ) と比較検討した。E. faecahs, S. morcescens, P. aeraginosaではMICが100μg/ml以上の耐性件が多数を占あていたが, E. coli, K. pneumoniae, P. mirabulisの80% MICはそれぞれ0.20, 0.39, 0.39μg/mlと良好な成績であった。他剤との比較てはS. epidermidisに対してはLMOXよりも優れており, E. coliでは他の3剤にくらべ優れていた。
2) 臨床効果: 複雑性尿路感染症33例に対して本剤を使用した。投与スケシールは1回0.5g, 1日2回, 5日間の点滴もしくは静注とした。UTI評価基準に基づいた判定では著効6例. 有効11例, 無効13例で, 有効率は57%(17/30) であった。副作用としては下痢を1例 (3%) に認めたが, 程度は軽度で無処置にて継続投与可能であった。臨床検査値の異常変動はGOT, GPTの上昇を1例, GOT, GPT, Al-Paseの上昇を1例, 好酸球の上昇を1例と計3例に認めたがいすれも軽度で臨床上問題となるものではなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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