CHEMOTHERAPY
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男子淋菌性尿道炎に対する6315-S (Flomoxef) の細菌学的, 臨床学的検討
斉藤 功他
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1987 年 35 巻 Supplement1 号 p. 995-1004

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抄録

1985年2月から同年4月までに表記泌尿器科を受診した男子淋菌性尿道炎47例を対象として6315-S (Flomoxef) の治療効果を検討し, 同時に臨床分離の淋菌31株に対し6315-S, Latamoxef, Cefotaxime, Cefoperazone, Cefoxitin, Penicillin G, Amoxicillin, Spectinomycinの8剤に対する抗菌力を測定し, 下記の結果を得た。
臨床分離の淋菌31株中β-lactamase産生株 (PPNG) は3株 (9.8%) で他の28株はnon-PPNGであった。31株の6315-Sに対する最小発育阻止濃度 (MIC) は0.2~6.25μg/mlに分布し, そのピークは0.2~0.39μg/mlにあり, 他のセフェム系薬剤と比べ数管低いが, ペニシリン系薬剤とはほぼ同程度の抗菌力であった。また, β-lactamase産生能とMICとの相関は認められなかった。
治療成績については6315-S 1g投与40例, 0.5g投与7例にそれぞれone shot投与を行ない治療成績を検討した。47例中除外, 脱落症例は9例で臨床効果の評価症例は1g投与32例, 0.5g投与6例の計38例で, 副作用の検討症例は45例である。臨床効果は38例中著効15例, 有効16例, 無効7例で, 有効率は81.6%であった (1g投与84.4%, 0.5g投与66.7%)。淋菌に対する細菌学的効果についてはone shot治療後3日目で33例中26例 (78.8%), 7日目では23例中21例 (91.3%) が淋菌の陰性化を示した。後淋菌性尿道炎 (PGU) は7例に認め, このうちC. trachomatis陽性3例, U. urealyticum陽性5例であったが, いずれの菌も陰性のものが2例あった。副作用は45例について検討したが, 1例も異常を認められなかった。
以上の成績から本剤は淋菌性尿道炎に対し有効な薬剤であるが, one shot治療成績からは期待された有効率は得られず, 治療に際しては3~4日の使用が必要であると考えられる。

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