CHEMOTHERAPY
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感染性腸炎に対するNY-198の臨床的研究
青木 隆一他
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1988 年 36 巻 Supplement2-Clinical 号 p. 792-802

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抄録

感染性腸炎 (細菌性赤痢, 病原大腸菌腸炎, カンピロバクター腸炎, サルモネラ腸炎など) に対する新キノロン系抗菌剤NY-198の有効性, 安全性および有用性を評価する目的で, 感染性腸炎患者および保菌者計118例 (入院56例, 外来62例) に本剤を投与し臨床的検討を行なった。あわせて, 臨床分離株に対する本剤の抗菌力を測定した。これについては後藤ら1) により別途原著として発表した。
投与方法は1回200mg 1日3回 (計600mg) を5日間 (サルモネラ腸炎患者および保菌者は7日間) 経口投与とした。
1. 有効性
感染性腸炎118例中, 有効性検討可能症例は76例 (細菌性赤痢では31例) であった。そのうち有症状例36例 (細菌性赤痢では10例) の臨床効果は全例が著効あるいは有効であり, 有効率100%であったが, 投与開始日に排菌のあった64例 (細菌性赤痢では29例) の細菌学的効果は有効 (投与終了以後の排菌は陰性) 以上が57例 (細菌性赤痢では29例) であり, 有効率89.1%(細菌性赤痢では100%) であった。これらの臨床効果および細菌学的効果を勘案して評価した76例の総合効果は (細菌性赤痢では31例) 著効36例, 有効33例であり, 有効率90.8%(細菌性赤痢では100%) であった。
2. 安全性
118例中, 副作用検討可能症例は106例であり, 消化器症状が4例 (3.8%) に認められた。いずれも軽度であり本剤は継続投与されたが, 発現6日後までに全例が治癒した。
臨床検査値異常は78例中, 好酸球増多, GOT上昇, GPT上昇, GOTおよびGPT上昇ならびにGOTおよびLDH上昇がそれぞれ1例の計5例 (6.4%) に認められたが, いずれも軽度であった。
3. 有用性
118例中, 有用性検討可能症例は75例であり「満足」以上は64例 (85.3%), そのうち細菌性赤痢では32例中30例 (93.8%) が「満足」以上であった。

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