CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症におけるCefodizime (THR-221) の基礎的・臨床的検討
津川 昌也山田 大介那須 良次岸 幹雄水野 全裕公文 裕巳大森 弘之難波 克一片山 泰弘近藤 捷嘉赤枝 輝明高本 均
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1988 年 36 巻 Supplement5 号 p. 677-690

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抄録

複雑性尿路感染症に対するCefodizime (THR-221) の有用性を基礎的ならびに臨床的に検討した.
1.抗菌力: 尿路感染症由来の教室保存株12菌種, 189株に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同系薬剤であるCefotaximne (CTX), Latamoxef (LMOX), Cefoperazone (CPZ) と比較検討した. P.aeruginosaではMICが100μg/ml以上の耐性株が多数を占めていた. E.coli, K.pneumoniae, P.mirabilisでは80%MICがそれぞれ0.20, 0.20, ≦0.025μg/mlと良好な成績を示した. また, S. marcescensでも90%MICが6.25μg/mlと良好な成績であった. 他剤との比較では, E.faecalis, E.coli ではCTXにやや劣るものの, CPZ, LMOXより優れていた. S.marcescensではCTXよりやや劣るものの, CPZ, LMOXより数管優れていた.P.aeruginosaでは他の3剤よりも劣っていた.
2.臨床効果: 複雑性尿路感染症31例に対して本剤を投与した. 投与スケジュールは原則として1回1g, 1日2回, 5日間の点滴静注とした. UTI薬効評価基準 (第三版) に基づいた判定では著効6例, 有効13例, 無効8例で, 有効率は70.4%(19/27) であった. 自他覚的副作用としては1例に下痢が認められた. 臨床検査値異常では2例にGOT, GPTの上昇, 1例に貧血を認めたが, いずれも軽微で投与終了後速やかに回復し, 臨床上問題とはならなかった.

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© 社団法人日本化学療法学会
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