1989 年 37 巻 12 号 p. 1453-1457
臨床分離Pseudomonas aeruginosa 15株をsub-MICのsulbenicillin (SBPC), ticarcillin (TIPC), piperacillin (PIPC), cefsulodin (CFS), cefoperazone (CPZ), cefpiramide (CPM), ceftazidime (CAZ) およびazthreonam (AZT) などの抗緑膿菌用β-ラクタム剤で処理し, β-lactamaseの誘導能を検討した。
これらの薬剤による被検菌株のβ-lactamase誘導能は, 中等度β-lactamase産生株において強く, 構成的産生株および弱産生株では薬剤によりβ-lactamase誘導の強弱が見られた。
中等度β-lactamase産生株を試験菌株とした場合, SBPC, TIPC, PIPC, CFS, CPZ, CPM, CAZおよびAZTの8薬剤による誘導により, それらの菌株のβ-lactamase活性は対照の3~5倍に上昇した。しかしCFSおよびCAZは誘導効果を示さなかった。また弱産生株ではSBPCおよびCPMで3~4個のβ-lactamase産生量の上昇が見られ, 比較8薬剤のうちSBPCおよびCPMが最も誘導効果が強かった。
上記のβ-ラクタム剤による高度誘導株に対しては, それらの薬剤の抗菌力が低下する傾向が認められた。