CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
抗緑膿菌用β-ラクタム剤による緑膿菌のβ-lactamase誘導と薬剤感受性について
小林 寅哲手塚 孝一佐藤 弓枝長谷川 美幸内野 卯津樹金子 康子西田 実五島 瑳智子
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 37 巻 12 号 p. 1453-1457

詳細
抄録

臨床分離Pseudomonas aeruginosa 15株をsub-MICのsulbenicillin (SBPC), ticarcillin (TIPC), piperacillin (PIPC), cefsulodin (CFS), cefoperazone (CPZ), cefpiramide (CPM), ceftazidime (CAZ) およびazthreonam (AZT) などの抗緑膿菌用β-ラクタム剤で処理し, β-lactamaseの誘導能を検討した。
これらの薬剤による被検菌株のβ-lactamase誘導能は, 中等度β-lactamase産生株において強く, 構成的産生株および弱産生株では薬剤によりβ-lactamase誘導の強弱が見られた。
中等度β-lactamase産生株を試験菌株とした場合, SBPC, TIPC, PIPC, CFS, CPZ, CPM, CAZおよびAZTの8薬剤による誘導により, それらの菌株のβ-lactamase活性は対照の3~5倍に上昇した。しかしCFSおよびCAZは誘導効果を示さなかった。また弱産生株ではSBPCおよびCPMで3~4個のβ-lactamase産生量の上昇が見られ, 比較8薬剤のうちSBPCおよびCPMが最も誘導効果が強かった。
上記のβ-ラクタム剤による高度誘導株に対しては, それらの薬剤の抗菌力が低下する傾向が認められた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top