CHEMOTHERAPY
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新経口セファロスポリン剤Cefdinirに関する細菌学的研究
五島 瑳智子小川 正俊金子 康子桑原 章吾
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1989 年 37 巻 Supplement2 号 p. 30-55

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抄録

新経口セファロスポリン剤cefdinir (CFDN) のin vitro, in vitro抗菌作用を cefixime (CFIX), cefteram pivoxil (CFTM- PI, 活性体: CFTM), cefuroxime axetil (CXM- AX, 活性体: CXM), cefaclor (CCL), amoxicillin (AMPC) と比較し次の結果を得た。
1.CFDNはStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidisなどグラム陽性菌に強い抗菌活性を示し, 既存の経口セフェム剤に感受性を示さないmethicillin耐性S. aureusおよび Enterococcus faecalisに対しても中等度の抗菌活性を示した。一方, グラム陰性菌に対し CFIX, CFTMよりやや劣るものの, CXM, CCL, AMPCより明らかに優れた抗菌活性を示した。
2.CFDNはKlebsiella pneumoniae3K25に対し対照剤に比べ最も低濃度で強い殺菌作用を示し, かつsub-MICにおいても殺菌的に作用した。
3.CFDNは各種β-lactamaseに対しCFIX, CFTMと同様極めて安定であった。
4.マウスの実験的全身感染に対するCFDNの治療効果はグラム陽性菌感染に対し CFIX, CFTM-PI, CXM- AX, CCLより優れ, グラム陰性菌感染に対しCFIX, CFTM-PIより劣るものの, CXM-AX, CCL, AMPCより優れた。白血球減少症マウスにおけるE. coli感染に対し CFDNの治療効果 (ED50) は, 正常マウスにおける治療効果に比較的近い値を示した。
5.マウスに経口投与後のCFDNの血清中濃度, 肺および腎内濃度は対照剤に比べ低かった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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