CHEMOTHERAPY
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外科領域におけるBMY-28100の基礎的臨床的検討
由良 二郎品川 長夫水野 章真下 啓二谷口 正哲保里 恵一桜井 敏村元 雅之石川 周
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1989 年 37 巻 Supplement3 号 p. 724-730

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抄録

グラム陽性球菌およびグラム陰性桿菌に対し幅広い抗菌スペクトラムを有する非エステル型のセフェム系経口抗生物質であるBMY-28100について基礎的臨床的検討を行い, 次の結論を得た。
1) 抗菌力: 外科病巣から分離されたEntencoccus 20株, Escherichia coli 20株, Klebsiella pnenmoniae 20株に対しBMY-28100の抗菌力を調べた。Enterococcnsに対するMIC分布のピーク値は12.5μg/mlであったが, E.coliに対しては0.8μg/mlと3.2μg/mlにピーク値を持ち, K.pneumoniaeに対しては0.8μg/mlにピーク値をもつ優れた抗菌力を示した。
2) 臨床使用成績: 皮膚および軟部組織感染症13例に本剤を投与し, その臨床効果と安全性などについて検討した。疾患の内訳は毛嚢炎1例, 痴2例, 蜂巣炎2例, 凛疽3例, 感染性粉瘤4例, 術後創感染1例であった。臨床効果は著効2例, 有効10例, やや有効1例であった。感染巣から分離された細菌は12株であり, 好気性グラム陽性球菌は7株でStaphylococcns anreus 6株, coagulase-negative Staphylococcns 1株であった。グラム陰性桿菌は3株分離され, E.coli 1株, K.pnenmoniae 1株, Protens mirabilis 1株であった。嫌気性菌はPeptostreptococcns prevotiiおよびPeptostreptococcus magnusが各1株分離された。
細菌学的効果は消失9例, 交代1例およひ不明3例であった。自他覚的副作用および本剤との関連性を疑った臨床検査値異常は認められなかった。

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