CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するflomoxefとcefamandoleのin vitroおよびin vivo併用効果
小林 義直園部 直美土肥 正善村上 和久吉川 正
著者情報
キーワード: MRSA, 併用効果
ジャーナル フリー

1991 年 39 巻 10 号 p. 968-975

詳細
抄録

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に対するflomoxef (FMOX) とcefamandole (CMD) の併用効果をin vitroおよびin vivoにおいて検討した。In vitro併用効果はチェス盤法でFractional Inhibitory Concentration (FIC) indexを測定することによって, またin vivo併用効果はマウス腹腔内感染に対する薬剤の単独時, 併用時のED60値を測定し, Fractional Effective Dose (FED) indexを算出することによって検討した。FMOXとCMDの併用はin vitroではMRSA 190株中181株 (95%) に相乗効果 (最小FIC index≦0.5) を示し, 特に36%の株では最小FIC indexが0.25以下となり強い相乗効果が認められた。さらに, 65%の株において併用時の両薬のMIC値は共に1.6μg/ml以下となった。この併用は, fosfomycin (FOM) と他のcephalosporinとの併用より強い相乗効果を示した。またlatamoxef (LMOX)/cephalothin (CET) の併用はFMOX/CMDより強い相乗効果を示したが, 併用時のMIC値はFMOX/CMDの方が低かった。Demethoxy-FMOX/CMDの併用では相乗効果が非常に弱いことからFMOXの7α-メトキシ基が相乗作用に関与していることが確認され, ペニシリン結合タンパク質4 (PBP4) の阻害がMRSAの増殖阻止に必要であることが示唆された。ln vivoでは, FMOX/CMDの併用はMRSA4株中3株に相乗治療効果を示した。この併用はFOM/CMZあるいはLMOX/CETの併用よりFED indexは大きかったが併用時のED50値は最も小さく, 少ない投与量で治療効果が認められた。以上, FMOX/CMDの併用はMRSAに対しin vitroin vivoにおいて相乗効果を示した。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top