1992 年 40 巻 11 号 p. 1336-1342
悪性血液疾患に合併した感染症47例に対してisepamicin 400mg, ceftriaxone 2gの1日1回投与が有効であるかを検討した。全47例の臨床効果は著効3例, 有効20例, やや有効6例, 無効16例, 判定不能2例であり, 有効率は49%であった。感染症では敗血症または敗血症疑いが40例を占め, その有効率は45%であった。臨床効果と好中球数との関係では, 投与前好中球数500/μl以上の症例が有効率60%と最も良い結果であったが, 500/μl未満の症例でも44%と良好であった。また, 有効例の投与終了時の好中球数は23例中14例が500/μl未満であり, 好中球減少期においても十分効果のあることが示された。細菌学的効果は47例中44例が不明で十分に解析できず, 血液疾患の化学療法期敗血症に対する細菌検索の難しさが痛感された。副作用は発疹が2例, 肝機能異常が2例であり, 重篤なものは認めなかった。Isepamicin, ceftriaxone1日1回投与は血液疾患に合併した感染症においても十分に有効であり, 今後試みる価値のあるものと思われた。