CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対するcefclidinの基礎的・臨床的検討
山田 大介他
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キーワード: 抗菌力, 臨床成績
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1992 年 40 巻 Supplement4 号 p. 432-439

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抄録

複雑性尿路感染症に対するcefclidinの有用性を基礎的, 臨床的に検討した。
1.尿路感染症由来の教室保存株14菌種209株に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同系薬剤であるcefoperazone, latamoxef, ceftazidimeと比較検討した。Enterococcus faecalisではMICが100μg/ml以上の耐性株が多数を占めたが, 他の菌種ではおしなべて優れた抗菌力を示し, 特に, Pseudomonas aeruginosaでは比較薬剤に比し数管優れた抗菌力を示した。
2.複雑性尿路感染症36例に本剤を, 1回0.5gまたは1g, 朝・夕2回, 原則として5日間連続静脈内投与した。UTI基準に合致せず除外した8例を除いた28例についてUTI薬効評価基準に従い効果判定した結果, 有効率は53.6%であった。細菌学的効果をみると46株中38株が消失 (82.6%) しており, 良好な除菌効果を示した。自他覚的副作用は本剤投与36症例中には1例も認めなかった。臨床検査値異常を3例 (8.3%) に認めたが, 臨床上特に問題とはならなかった。
従って本剤は複雑性尿路感染症に対し有用性の高い薬剤と考えられた。

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