CHEMOTHERAPY
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新規抗生物質mupirocinの細菌学的評価
小笠原 晃三浦 雅彦横田 栄作小西 孝勇井上 松久三橋 進
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1993 年 41 巻 11 号 p. 1167-1173

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抄録

Mupirocinは, Micrococcus luteusを除くグラム陽性菌に優れた抗菌力を示した。特にブドウ球菌に対しては, 0.39 μg/mlで本試験に使用したmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) を含むすべてのブドウ球菌の発育を阻止した。また, erythromycin, minocyclineおよびgentamicinに耐性のブドウ球菌に対しても, 本剤の抗菌力は優れており, いずれの薬剤とも交叉耐性のないことが確認された。グラム陰性菌の中では, Haemophilus influenzuおよびBranhamelh catarrhalisなどに対して優れた抗菌力を示した。MRSAに対するmupirocinの殺菌力の成績では, 本剤は低濃度では殺菌力が弱かったが, 200 μg/mlの濃度で作用させると6時間で殺菌した。また, MRSAに対するmupirocinのMBC値は50 μg/ml以下であった。試験管内耐性獲得は, 液体培地中で18回の継代により8倍のMIC値の上昇が認められただけであり, 高度耐性化し難い薬剤であると考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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