CHEMOTHERAPY
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Aztreonamとpiperacillin併用時の肝機能値異常変動に対するアデラビンの有用性の検討
林 嘉光他
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キーワード: 肝機能異常, 併用療法
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1993 年 41 巻 4 号 p. 520-527

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抄録

呼吸器, 尿路細菌感染症症例に対してmonobactam系抗生剤aztreonam (AZT) とpenicillin系抗生剤piperacillin (PIPC) の併用療法を実施した82症例のコントロール群と上記の抗生剤併用に肝臓抽出製剤アデラピンを加えた79症例のアデラビン群のそれぞれの肝機能値の変動を比較検討し, 以下の成績を得た。
1. コントロール群は男性44例, 女性38例で平成年齢は60.8±1, 9歳, アデラビン投与群は男性46例, 女性33例で平均年齢は63.5±1.9歳で両群間で性別, 年嫌に有意差はなかった。
2. 疾患別では, 呼吸器感染症ではコントロール群64例, アデラピン群は58例.尿路感染症ではコントロール群17例, アデラピン群16例, その他の疾患の投与例はコントロール群1例, アデラビン群5例であった。
3. 臨床的な有効率はコントロール群74.7%, アデラビン群78.2%で有意差はないが, アデラピン群の有効率が高かった。
4. コントロール群とアデラビン群とにおけるS-GOT, S-GPTの異常変動症例の出現率は, それぞれ25, 6%, 11, 4%であり, アデラビン群で出現率が有意に低下していた (p<0.05)。
5. その他の臨床検査値異常, 自他覚的副作用としてはコントロール群では発疹1例, 食欲不振と悪心1例, 好酸球増多1例, 白血球数減少1例, アデラピン群では発疹1例, BUN上昇1例がみられたが, 治療継続中にあるいは治療の中止後正常に復し, 重篤なものはみられなかった。
以上より, 呼吸器感染症, 尿路感染症症例に射するAZT, PIPCの併用療法において, アデラピン投与によって肝機能値の異常変動例の頻度が低下した。また, 副作用も軽度のものであり, 安全性の面でも問題はなかった。

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