CHEMOTHERAPY
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産婦人科領域におけるS-1108の基礎的・臨床的検討
藤井 哲哉千石 一雄石川 睦男清水 哲也長谷川 天珠芳賀 宏光高田 久士溝口 久富川村 光弘牟禮 一秀柴田 繁男西村 恒則
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1993 年 41 巻 Supplement1 号 p. 584-588

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抄録

新しく開発された経口用セフェム系抗生物質S-1108を産婦人科領域感染症に対する臨床的効果, 安全性ならびに性器組織移行に関し, 検討を加えた。本剤100mg単回投与後の肘静脈血清, 子宮動脈血清濃度は3時間30分後に最大値0.24μg/ml, 0.24μg/ml, 200mg投与時は3時間後に最高値1.25μg/ml, 1.21μg/mlを示し, 以後漸減した。各組織内濃度は, 各組織間で差は認められず100mg投与時では3時間30分後に最高値0.12~0.24μg/gを示し, 血清比の50%以上の移行を, 200mg投与時では3時間後に0.50~0.69μg/gを示し, 血清の40%以上の移行を認めた。臨床効果は対象20例中, 効果判定が可能であった15例のうち著効2例, 有効13例で有効率100%であった。なお, 1例に軽度の奪発疹の出現が認められたのみで, 臨床検査値の異常は1例も認められなかった。以上の成績によりS-1108は産婦人科領域感染症に対し, 高い有用性を示すことが示唆された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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