慢性気道感染症反復増悪例に対するciprofloxacin単独, erythromycin単独および併用療法の比較試験成績

抄録

慢性気道感染反復例を対象に無作為割付けでciprofloxacin (CPFX) 200mg/日投与 (A群), erythromycin (EM) 200mg/日投与 (B群), その併用投与 (C群) を6か月間行い, 有効性を比較した。気管支拡張症19例 (A群/B群/C群=6/7/6), 慢性気管支炎15例 (2/6/7), 肺気腫8例 (3/2/3), DPB6例 (2/2/2), 肺線維症1例 (1/0/0), 陳旧性肺結核1例(1/0/0) の計50例で効果を判定し, 判定除外例を含む58例で安全性を判定した。試験開始前後の急性増悪回数 (1例毎6か月当たり補正値) はA群1.73回→0.71回, B群2.35回→1.71回, C群2.47回→1.38回に減少し, 重症度を加味した解析でB, C群の減少が有意であった。試験開始後の急性増悪 (A群11回, B群32回, C群25回) 時にB群では有意病原性菌が多く分離され, A, C群ではPseudomonas aenrginosa以外の分離は少なかった。P. aeruginosaの持続検出10例中A群の1例でCPFXのMICが0.05→3.13μg/mlに上昇したが有効を治めた。A, C群各1例で食欲不振, C群1例で発疹・筋肉痛, C群1例でGOT・GPTが上昇したが中止後改善した。主治医判定の有用率はA群66.7%, B群64.7%に対しC群が88.9%と高かった。反復する慢性気道感染症の外来長期管理におけるCPFXとEMの併用療法は各々単独投与よりも有用と思われた。