1994 年 42 巻 11 号 p. 1247-1253
マウスにおいてβ-lactamase産生菌による尿路感染症モデルを作成し, tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC), pipemcnlin (PIPC) およびsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) の治療効果を検討した。Escherichia coli, Proteus vulagar, Serratia marcescens感染に対し, TAZ/PIPCはSBT/CPZと同等の優れた治療効果を示した。β-Lactamase産生性のStaphylococcus aureusとPIPC感受性のE. coliによる混合感染において, 単独投与のPIPCの腎内濃度はTAZ/PIPC投与のPIPC濃度より低く, PIPC単独投与ではS. aureusのみならずE. coliに対しても効力は認められなかった。それに対して, TAZ/PIPCとSBT/CPZはいずれの菌に対しても除菌効果が認められた。これらの結果より, TAZ/PIPCはβ-lactamase産生菌による尿路感染症に対してSBT/CPZと同等の効力を有するとともに, β-lactamase産生菌の関与する複数菌感染症にも有効な薬剤と考えられた。