CHEMOTHERAPY
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Cefminoxの膵液移行に関する臨床的検討
藤井 秀樹松本 由朗
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1994 年 42 巻 6 号 p. 723-728

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抄録

第3世代の抗生物質であるcefminox (以下CMNXと略) の様々な膵疾患に合併する感染症に対する有効性を検討した。41症例の膵頭十二指腸切除術症例で膵管内に挿入されたドレナージチューブより採取された膵液内の細菌叢はEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterococcus fecalis, そしてPgeudomonas aeruginosaが主であった。これらの細菌に対するCMNXのMIC値は, Pseudomonas aeruginosa以外はすべて1.0μg/ml以下であった。15例の膵頭十二指腸切除症例に対しCMNXを2g/50kg B. W.経静脈的に2分間で投与し, 経時的に採血ならびに膵液採取を行った。各検体のCMNX濃度を高速液体クロマトグラフィー法にて測定したが, 血中CMNX濃度は投与後10分で最高濃度137.3±35.8μg/mlを示し, 180分後にも51.2±28.4μg/mlと比較的高濃度を示した。一方, 膵液内CMNX濃度はCMNX投与後20分には最高濃度4.9±2.9μg/mlで, 180分後でも1.9±0.8μg/mlを示し, 膵液内に比較的高頻度に検出される細菌叢に対するMIC値を上回っており臨床的に有効であることが明らかになった。以上よりCMNXは膵疾患に合併する感染症発生の予防に有効であるとの結論を得た。

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