CHEMOTHERAPY
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腎皮質糖新生能におよぼすβ-ラクタム系抗生物質の影響
加齢による変化
仲田 浄治郎増田 富士男小野寺 昭一近藤 泉古田 希鈴木 英訓
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1994 年 42 巻 7 号 p. 849-853

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抄録

幼若ラット (2~3か月齢) と成熟ラット (8~10か月齢) のFischer344雄性ラットを用い, 加齢に伴う腎皮質糖新生能の変化を検討した。腎皮質糖新生能は, 飼育ラットを屠殺後, ただちに用手的に腎皮質スライスを作製し, 10mMピルビン酸を基質としてKrebs-Ringer bufferでincubationし新生された糖を測定した。さらにかラクタム系抗生物質による腎皮質糖新生能への影響を, 幼若ラットと成熟ラットで比較した。β-ラクタム系抗生物質非存在下45分, 90分incubationで新生される糖は, 幼若ラット.成熟ラットの両群とも有意な差はみられなかった。しかし5mMβ-ラクタム系抗生物質存在下での糖新生能の抑制の程度は抗生物質非存在下での糖新生能に対して幼若ラットではcephaloridine (CER) で18.7%, penicillinG (PCG) では15.5%の抑制がみられた。一方, 成熟ラットではCERで28.2%, PCG で29.9%と成熟ラットにより強く抑制がみられた。加齢によりβ-ラクタム系抗生物質による腎皮質糖新生能におよぼす影響は強まることが示唆された。

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