CHEMOTHERAPY
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呼吸器感染症に対するSY5555の基礎的・臨床的検討
高本 正祇原田 泰子石橋 凡雄篠田 厚
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1994 年 42 巻 Supplement1 号 p. 375-380

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抄録

呼吸器感染症で入院中の高齢者 (平均年齢76.5歳) 12例にSY5555を300mg投与した時の血中濃度の推移について検討した。本剤を投与した時の薬動力学的パラメーターは, Tmax 3.17h, Cmax 3.49μg/ml, T1/2 1.61h, AUC(0→∞) 16.49μg・h/mlを示し, 健常成人の成績と比較すると, 高齢者では, Cmaxは低値, Tmax, T1/2は延長され, AUC(0→∞) はやや増加傾向を示した。また, おそらく高齢によると思われる軽度以上の腎排泄能不全を示した患者11例のCmax, AUC (0→∞) はCcrと明らかに高い相関を認めた。
呼吸器感染症患者8例 (気管支拡張症感染4例, 慢性気管支炎2例, 肺気腫感染1例, 肺炎1例) に本剤を1回300または400mg, 1日3回, 7~21日間食後経口投与し, 臨床効果, 安全性について検討した。その結果, 著効1例, 有効5例であった。細菌学的効果は, 2例からStaphylococcus aureus, Momxella catarrhalisの2株が分離されたがいずれも消失した。また, 副作用並びに臨床検査値の異常変動は認められなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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