CHEMOTHERAPY
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外科領域におけるFK037の基礎的, 臨床的検討
横山 隆児玉 節竹末 芳生檜山 英三村上 義昭山東 敬弘宮本 勝也今村 祐司新原 主計水流 重樹立本 直邦松浦 雄一郎
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1994 年 42 巻 Supplement3 号 p. 310-316

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抄録

新しい注射用cephem系抗生物質であるFK037について外科領域, 主として消化器外科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 次のような結果を得た。
1) 抗菌力: グラム陽性球菌でmethicillin-resistant Staphylococcus aurezcsではFK037のMICは, 6.25~50μg/mlに分布していた。methicillin-sensitive S. aureusでは全株3.13μg/ml以下に分布した。Coagulase-negative StaphylococcmsのMIC90は12.5μg/mlと良好な抗菌力を示した。
Enterococcus spp.ではMICの高い値を示す株が多く, 臨床的効果は認められないものと考えられた。
グラム陰性桿菌では, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca, Citrobacter freundii, Enterobacter aerogenes, Serratia marcescens, Acinetobacter calcoaceticusにはいずれも良好な抗菌力を有していたが, Enterobactercloacaeでは一部にMICの高い株が存在した。
Pseudomonas aeruginosaでは73.8%の株が12.5μg/ml以下に分布し, 耐性菌の多いこの菌に対して良好な抗菌力を示した。
Xanthomonas maltophiliaではMICが高い株が多く, 臨床的には効果は認められないものと考えられた。
2) 臨床的検討: 本剤を潰瘍穿孔による腹膜炎2例, 重症膵炎による腹腔内膿瘍1例, 結腸癌による重症閉塞性大腸炎の穿孔による腹膜炎1例, 胆管炎1例, 創感染1例の計6例に使用した。その結果, 有効4例, やや有効2例の成績であった。自他覚的副作用はいずれも認めず, 投与前後の臨床検査値で明らかに本綱に起因すると思われるものは認めなかった。

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