CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
新規全合成carbapenem, biapenemの外科臨床治験
森本 健木下 博明中谷 守一久保 正二中村 弘樹上田 隆美藤本 幹夫
著者情報
キーワード: 外科領域感染症
ジャーナル フリー

1994 年 42 巻 Supplement4 号 p. 535-548

詳細
抄録

Biapenem (BIPM) の体内動態試験, 臨床試用し以下の結果を得た。
3例について, 0.3gを30分で点滴静注し, 1時間毎にみた場合, 血漿中濃度は1時間で12, 6-17.5μ/ml, 6時間では0.6-1.1μg/ml, 胆汁中では投与後1-2時間で4.5-110μg/mlのピークとなり, 5-6時間では0.4-13μg/mlとなった。
疾患別の臨床効果判定が行われた26例では著効14例, 有効5例, やや有効5例, 無効2例, 有効率73%の結果であった。特に術後の創感染では高い著効率を認めた (p=0.028)。
分離菌別の細菌学的効果判定が行われた26株では消失15株, 減少4株, 不変7株, 消失率58%の結果であった。起炎菌の分離状態別の細菌学的効果判定が行われた16例では消失7例, 減少4例, 菌交代1例, 不変4例, 消失率50%の結果であった。Staphylococcus aureus 6株では3株消失する状況であった。
BIPMのMICごとに消失状況の判定が行われた24株では15株63%, 6.25μg/ml以下であった13株では10株, 12.5μg/ml以上であった11株では5株消失する結果であった。
本剤の投与による自他覚的副作用はみられなかった。臨床検査値異常は5例に認められ, 1例が本剤との関係を疑われた。
以上, BIPMは胆道感染を始めとする外科領域感染症に使用し, 安全で高い有効性が期待できる薬剤である。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top