日本化学療法学会雑誌
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血液疾患領域でのvoriconazoleの位置づけ
吉田 稔
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2005 年 53 巻 Supplement2 号 p. 51-55

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抄録

わが国における急性骨髄性白血病患者の調査においても, また造血幹細胞移植においても, アスペルギルス属, カンジダ属を中心とした真菌感染症がみられ, その死亡率の高さが問題となっていた。アンケート調査によると, 白血病における抗真菌薬療法においては, 予防的投与ではamphotericin B (AMPH-B) とfluconazole (FLCZ) が, 経験的治療においては肌CZが主に用いられていた。またアスペルギルス症の標的治療ではAMPH-Bが主に用いられていたが, AMPH-Bの副作用を考慮してか, 必ずしも十分量を投与されているとはいいがたい状況であった。Voriconazoleは, FLCZと類似の構造をもつ新規のアゾール系抗真菌薬で, FLCZ低感受性または非感受性のカンジダ属や, アスペルギルス属, クリプトコックス症など幅広く強力な抗菌活性を有する。今後, 特に経験的治療や, カンジダ属, アスペルギルス属に対する標的治療薬として期待される。

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