地球環境
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東日本大震災が生態系に及ぼした影響
原 慶太郎樋口 広芳
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2013 年 18 巻 1 号 p. 23-33

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抄録

2011年3月11日の東日本大震災における大津波が生態系に与えた影響に関して、衛星リモートセンシングの解析結果、調査研究資料や現地調査から、地域及び生態系ごとに整理し議論した。この大津波は生態学的には数百~1000年という時間スケールで生じた大規模攪乱と位置づけられる。本稿では陸上生態系及びこれに関連が深いと考えられる浅海域までを対象とし、浅海、海崖、砂浜、干潟、湿地、海岸林、水田の代表的な生態系を取り上げて津波の影響を論じた。津波そのものの物理的な破壊に加え、海水の浸水という化学的な影響も相まってこれまでに類をみない大きな影響が各種生態系に及んだ。生起した時期が3月というこの地域では植物の生育開始時期以前であったため、場所や生活形で影響が大きく異なった。影響の様相は地域的には三陸のリアス海岸域と仙台平野の砂浜海岸域では質的に異なり、一方で、両地域とも砂浜の沈降や海岸林の倒木・流亡など共通する影響も認められた。

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© 2013 一般社団法人国際環境研究協会
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