地球環境
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未来の市長になって政策提言を考える 「未来ワークショップ」の熟議の場の形成効果と課題
宮﨑 文彦
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2019 年 24 巻 2 号 p. 119-125

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抄録

すでに世界の大半の国が「デモクラシー」を政治体制として採用している今日においては,いかにしてそのデモクラシーの中身を充実させるかが問題とされ,単に選挙における投票や多数決ではなく,様々な意見,価値観をもった人びとによる熟議こそが,デモクラシーの質を高めるものとして期待されている。本稿は,中高生を対象に自身が住む自治体について,未来の市長になったつもりで政策提言を考えてもらう「未来ワークショップ」を「熟議」の実践として論じたものである。従来の傾向をそのままにすると2040年には自身の住む自治体がいかなる姿になっているのかをシミュレートする「未来シミュレータ」という情報を参考に,未来市長として市全体の課題を想像し,政策提言を考えるワークショップは,異なる学校,学年のメンバーによるアイディア出しという設計の点でも,自身の利害関心にとらわれない公共的な市民へと育成する可能性をもつことを論ずる。

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© 2019一般社団法人国際環境研究協会
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