抄録
日本を含む世界中の様々な地域において気候変動影響が顕在化しており,今後その深刻化が懸念されている。そのため,気候変動影響を評価したうえで,適応策を検討して実践することが急務となっている。本研究では,我が国を対象として地方公共団体の気候変動適応を推進するために,必要な気候変動影響予測情報がどの分野・項目で開発されてきているかについて調査した。結果,地方公共団体が利用可能と考えられる影響予測情報は 2020 年に公表された我が国の気候変動影響評価報告書に記載されている 7 分野 71 項目のうち約 56%にとどまり,分野や項目に大きな偏りがあることを明らかにした。また,地域の状況やニーズに応じた影響予測情報の拡充の方向性や適応策の実践を科学的に支援するために必要な研究テーマについて考察した。