智山学報
Online ISSN : 2424-130X
Print ISSN : 0286-5661
ISSN-L : 0286-5661
紅頗梨色阿弥陀像をめぐって(3) : 道場観を中心に
苫米地 誠一
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 44 巻 p. 53-79

詳細
抄録

真言密教(東密)系の阿弥陀如来像とされる紅頗梨色阿弥陀如来像は、頭上に五智の宝冠を戴き、身色を紅くして、阿弥陀如来の三昧耶形である金剛杵を茎とする蓮華を台座としてその上に坐す、特異な形式の像として知られている。その典拠は弘法大師空海作とされる『無量寿次第御作』『紅頗梨秘法』とされるが、宝冠を戴く阿弥陀如来像の成立は、空海時代よりもかなり下がると考えられる。また阿弥陀法次第の道場観では、種子・三昧耶形・本尊形の三種を順次変化させて観念する次第であって、三昧耶形と本尊形とが同時に同一画面上に現れることはあり得ない。そこで現在の紅頗梨色阿弥陀如来像がどのようにして成立したのか、儀軌から道場観へ、道場観から実際の図像へという過程を、図像の直接的典拠である道場観を中心に考察したい。

著者関連情報
1995 智山学報
前の記事 次の記事
feedback
Top