イジングモデルのようなセルオートマトンに基づくシミュレーションは、数多くの構成要素からなる複雑系のモデルとなる。系に存在する相互作用と実現される状態の相関を理解することは化学、生物学などで重要な課題であり、セルオートマトンのようなモデル系におけるシミュレーション解析はこの課題に関する基礎的な知見を与えるものと思われる。一方、通常のモンテカルロシミュレーションや分子動力学シミュレーションでは、系のすべての相互作用が考慮される。しかしながら、現実的な系(開放系)では相互作用が全系に影響を及ぼすとは考えにくい。本研究では、コンウェイによって提唱された”ライフゲーム”のアルゴリズムを局所相互作用に基づく空間パターン形成アルゴリズムであるとみなし、相互作用の伝搬範囲と平衡状態に至るまでの系の時間発展におけるゆらぎの効果を考慮したセルオートマトン・シミュレーションを行った。発表では相互作用およびゆらぎによって実現される状態がどのように変動するかを解析した結果について報告する。